先日、
自宅を出てすぐの道路の路肩を
歩いていたところ、
遠く離れた反対側の路肩から猫
が近づいてくる。
やけに緊張感を漂わせていると
感じて、よく見ると口に何か
くわえているようだ。
でも何なのか遠くてはっきり
見えない。
何をくわえているのか気になり、
立ち止まって、じっと見ていた。
すると、目線を合わせられる
距離まで近づいたところ、
私のほうを見据え殺気を飛ばし
てきた。
その殺気を感じならが、
思わず笑ってしまった!
なぜなら、
口にくわえていたものが、
雀やねずみなどの捕獲動物ではなく
「ちくわ」だった、
からだ。
『殺気とちくわ』
この落差と、
猫の健気な可愛らしさに
やられてしまったのだ。
しかし、人間が与えたちくわだと
思うけれど、その場で食せずに、
危険を冒してまで、
殺気を飛ばしながら
運ぶ先とはどこなのか。
恐らくその先には、
お腹を空かせた子猫たちが
待っていたのではないかと思った。
それにしても、
あの只ならぬ寄せ付けない殺気、
私も見習わなくては、
と身を引き締めながら、
稽古に向かった。